一家だんらん、夕食の席でとつぜん、息子にそう聞かれた。
彼は小学3年生だ。さすがに社会の授業でおそわる内容でもないだろうにと、ぎもんに思っていると、妻がその答えをくれた。
なるほど、それでマイナス金利か・・・僕は、ビールを流し込みながらつぶやいた。
つまりはこういうことだ。パパに聞こうねーという、妻からスルーパスを受けた訳だ。マイナス金利ぐらいは知っているだろうけど、そこと、ゆうちょ銀行の株がからんでいる理由となると、僕にパスした方が楽だと考えたのだろう。
利き手である右そでをつかんで急かす息子の頭を3度、分かった分かったと撫でまわし、飲みかけのビールを飲み干した。
マイナス金利がなんなのか?
それはね―・・・
マイナス金利をしる前に、金利とはなんなのか?を知るひつようがあると思う。
金利を分かりやすく言うとね、ここに自分では植えきれないリンゴの種を抱えたゾウさんがいるとしよう。
ゾウさんは考える。自分で種を保管していてもいいけど、ヤギさんに預ければ、返してもらう時、少しは増えているぞ!と。
そこでゾウさんは、もてあましたリンゴの種をヤギさんに預ける。
ヤギさんは、銀行をやっていてね、ヤギさん銀行は、ゾウさんや他の動物さんから預かった多くの種を安全に保管してくれるんだ。
それに、種を預けてくれたゾウさんにありがとうを言うし、預かった種の数に対して、年間で何個かのリンゴの種を金利として、プレゼントするんだ。
なぜなら、ヤギさんはゾウさんから預かったリンゴの種を他の誰かに貸すことで、種の数を増やす、銀行をしているから。
ほら、ヤギさん銀行にヒツジさんがリンゴの種を10粒、借りにやって来たぞ!
ヤギさんは、ヒツジさんに喜んでリンゴの種を貸すのだけど、一つ、約束をさせる。
ヒツジさん、種を返す時は12粒返してね!と。
ヒツジさんは、10粒しか借りていない。だけど、返すときは2粒多い、12粒返さなくてはならない約束―・・・この借りた時よりも多い2粒分が金利になるんだ。
ただし実際は、種を借りる期間によって、返さなくてはならない種の数は変わってくる。そこには利子や元本なんて言葉もついてくる。そのため、金利は年利とも呼ばれる時があるんだ。
まとめると金利は、最初に借りたり、使わせてもらった種(元本)に対して設定された、使用料(利子・利息)になる。
そして年利は、金利を1年の日数、365日に割り当てた呼び方のことだよ。金利は元々、1年間でいくらの使用料が発生するって考えるからね!
ざっくり言うと、同じものと考えていいよ。
それを踏まえると、マイナス金利はどういうこと?って話になるよね?
じゃあ、だれが影響を受けるのか?と言えば、それはヤギさん銀行なんだ。
ヤギさん銀行は、ゾウさん以外にも、カバさんやパンダさんなどの花の種や笹の種を預かっている。
でもヤギさん銀行だって、そんなにたくさんの種を預かりきれないから、もっと大きなライオンさん銀行に預けなくてはならない。
そこでこれまでは、ヤギさんはライオンさんに預かって!と色々な種を預けていた。
ライオンさんだって銀行だから、ヤギさんから預かった種を借りたし、使わせてもらったりして、自分の種を増やしていた。
もちろんヤギさんには、使用料として金利を渡していたんだけど・・・
それが突然!今日から、俺に種を預けたら、1割減るから!と言ってきた。
これはつまり、ヤギさんが10粒のリンゴの種を預けたら、9粒しか返さないって言ってきたんだ。
これがマイナス金利だよ。
でも、ライオンさん銀行に種を預けることが出来るのは、ヤギさんみたいな銀行だけだから、ゾウさんやヒツジさんがいくらヤギさんに種を預けても、減って返ってくることはないんだ。
そうなると困るのは、ヤギさんたち銀行になるよね?
そこで今度は、ライオンさん銀行が、なんでマイナス金利を始めたのか?をお話しよう。